緑内障

当院の緑内障診療のこだわり

当院は患者さまの通院・治療の負担軽減まで考えた緑内障診療を行っています

緑内障は、見え方を守るために生涯に渡って治療を続けていかなければいけない病気です。そのため、治療期間は人によっては何十年も続きます。しかし、毎日の点眼や、定期的な通院が負担となり、(ほとんどの場合で痛みなどの自覚症状も無いことから)治療を途中でやめてしまう方が少なくありません。
当院は、“患者さんが治療を続けやすいこと”を最優先に考え、緑内障治療の負担を軽減するための取組みを行っています。

負担軽減への取り組み

積極的な長期処方の実施

点眼治療を行い、眼圧を低下させることが重要なのですが、点眼が無くなる度に受診することが負担となって治療を中断してしまう方がいらっしゃいます。
当院は、症状が安定していると判断できた患者さんには積極的に長期処方を行い、通院頻度が少なくなる(目安は2~3か月間隔)ようにしています。

imo(新しい視野検査機器)の導入

緑内障の進行度合いを判断するために視野検査は欠かせません。 しかし、従来の検査は検査時間が長く、疲れてしまう方がたくさんいらっしゃいました。 緑内障治療において視野検査は欠かせないため、当院では検査の負担を少しでも減らすべく、imoという新しい検査機器を導入しました。

imoの特徴

両眼開放下で検査ができる:従来の視野検査(ハンフリー)のように片目をアイパッチで隠す必要がありません。
検査時間が短い:従来の視野検査(ハンフリー)より短い時間で検査を終えることができます。

点眼薬の工夫

緑内障の治療では、眼圧の低下具合や、視野の狭窄状況に応じて、点眼薬の種類を増やすことがあります。
一般的に、複数の点眼薬を使用する場合、前に使用した点眼が後の点眼で流されないようにするため、点眼と点眼の間は5分程度開けることが推奨されています。この時間が負担になる方が多いため、当院では配合剤(複数の薬剤が混ざった薬)を積極的に使用することで、できるだけ点眼の種類が少なくなるように工夫しています。

当日に検査を終えられる体制

視野検査は時間がかかるため、視野検査は予約制とされている医院もあります。
別の日に視野検査のために再受診が必要となると、患者さんの通院負担が増えると考え、当院では必要な検査はその日の内に終えるようにしています。

これらの取組みは治療を継続し、今ある見え方を守ることを目的に、“患者さんが治療を続けやすいこと”を最優先に考えて行っています。他院で治療を受けている方でも、継続して当院で治療できますので気兼ね無くご相談ください。

緑内障とは

緑内障とは眼底視神経が障害されることで視野に欠損がおこる病気です。以前は眼圧が異常に高くなることによっておこるとされてきました。しかし、2000年に行われた大規模疫学調査(多治見スタディ)で眼圧が正常でも緑内障の症状がおこることがわかりました。そして、残念ながら医学が進歩した現在でも緑内障の原因は分かっていません。

緑内障は初期のうちは自覚症状がありませんが、だんだんと視野が狭くなりついには視野の中心が欠けてきてしまいます。一度障害された視神経は回復することはありませんので、早期発見と早期治療がもっとも大切です。
緑内障の発見には定期的に検査を受けることが大切です。検査では視力検査・眼圧検査のほか、視野検査や眼底検査などを行い、総合的に診断します。

40歳になったら一度検査

40歳になったら一度検査近年の研究(多治見スタディ)で、40歳を越した方の緑内障発症率は実に5%にも上ることがわかりました。さらに片目の視野に障害がおこっても、もう片方の目でそれを補正してしまう仕組みになっているため、ご自分が緑内障と気づいていない「潜在患者」の方が9割もいることがこの病気のおそろしいところです。
緑内障で失われた視野は治療をうけても戻ることがありませんので、唯一の対策は早期発見と早期治療ということになります。
そのため発症率が格段に上がる40歳をすぎたら、最低でも年に1度程度、定期的に眼科で検査を受けるようにしましょう。
もし検査で緑内障と診断されても、早いうちであれば、以前より有効な緑内障治療薬が増えたため点眼治療で進行を食い止めることができます。
緑内障と診断されても、落ち込まず、食事のバランスなどを保ち落ち着いた日常生活をおくることが病気の進行を食い止める上で大切です。また精神的にもあまりストレスをためないようにしましょう。

緑内障の原因

緑内障の原因は現在のところはっきりとわかっていません。以前は眼圧が高い状態が続くことでだんだんと視神経が阻害されてくるためといわれていました。もちろん眼圧も緑内障をおこす一つの原因には間違いありませんが、緑内障の患者さんの9割は眼圧が正常範囲である21㎜Hg以下であったことが判明し、視神経そのものの問題や血流の不足、免疫異常などさまざまな原因が考えられるようになってきました。

視野障害の進行

初期

初期

目の中心をややはずれたところに暗点(見えない点)ができます。 自分自身で異常と自覚することがありません。

中期

中期

暗点が拡大し、視野の欠損(見えない範囲)が広がり始めます。しかし、この段階でも片方の目によって補われるため、異常に気付かないことが多いようです。

末期

末期

視野(見える範囲)はさらに狭くなり視力も悪くなって、日常生活にも支障を来すようになります。さらに放置すると失明に至ります。

緑内障の検査

STEP1眼圧検査

眼圧検査とは、房水という液体によって保たれている眼球内圧(眼圧)を測定する検査のことです。
眼圧は、健康な目でほぼ一定ですが、房水の生産量と流出量のバランスが崩れると変動が起こります。
緑内障を調べる際には、必須の重要な検査です。

STEP2眼底検査

眼底検査とは、瞳孔の奥にある眼底を、眼底カメラや眼底鏡という医療機器を用いて行います。
レンズを通して状況観察し、眼底の血管、網膜、視神経を調べるます。
緑内障を調べる際には、特に重要な検査のひとつです。

STEP3隅角検査

この検査で、急性(閉塞隅角)緑内障を起こしやすい狭隅角かどうか、あるいはその程度を把握することができます。
また、隅角の状態を見ることで、レーザー治療での治療が必要かの判断も行います。

STEP4視野検査

視野の異常をみることで緑内障を含め、多くの目の疾患がわかります。
緑内障では視神経の障害はゆっくりと起こり、視野も少しずつ狭くなっていくため、初期は自覚症状を感じることが殆どありません。
定期的に視野検査を行うことで、緑内障の進行具合を判断することができます。

緑内障の治療

お薬での治療

主に目薬による点眼にて治療を行います。 ケースによっては内服薬を使用する場合もあります。

プロスタグランジン

プロスタグランジン

(左からキサラタン・トラバタンズ・タプロス・ルミガン・レスキュラ)

房水流出促進

房水流出促進

(左からアイファガン・デタントール・サンピロ・ハイパジール)

房水産生抑制

房水産生抑制

(左上からエイゾプト・トルソプト・ハイパジール・チモプトール・チモプトールEX・ミケラン・ミケランLA・リズモンTG)

配合点眼薬

配合点眼薬

(左からコソプト・ザラカム・デュオトラバ)

レーザーでの治療

点眼による治療がうまくいかない場合、レーザーによる治療を試みます。

レーザー虹彩切開術

房水の出口である隅角(ぐうかく)とよばれる部分が狭くなっている患者さんには、予防措置としてレーザーによって隅角を拡げるレーザー虹彩切開術を行います。
この方式は角膜と水晶体の間にある虹彩とよばれる部分にレーザーで小さな穴をあけて房水のバイパスをつくり、それによって房水の排出を促し、眼圧を下げるというものです。
ただし、時間の経過によって穴の周辺に癒着が発生することがあり、その場合は点眼薬などを併用し癒着の進行を抑えます。
この方式で期待した効果が得られない場合は手術を行うことになります。

選択的レーザー繊維柱帯形成術

隅角が十分開いているにもかかわらず、点眼薬による治療がうまくいかなかったり、視野異常の進行がとまらなかったりする場合は、隅角にある房水を濾過し排出させるスポンジ状の繊維柱帯とよばれる部分にレーザーを照射して房水の出口を確保します。
繊維柱帯は房水が鼻の奥へと流れるシュレム管とよばれる部分のそばにあります。ここにレーザーを照射することによってつまってしまったスポンジ状の繊維に人工的に流れをつくりだします。

手術

点眼薬による治療やレーザー手術がうまくいかないケースは手術による治療となります。緑内障の手術の方式には、従来行われてきた繊維柱帯切開術(トラベクロトミー)と繊維柱帯切除術(トラベクレクトミー)の2種類があります。また、最近では低侵襲緑内障手術(MIGS)も行われています。

繊維柱帯切開術(トラベクロトミー)

硬くなってしまった繊維柱帯を切開することによって、出口の目詰まりを解消し房水の排出を活性化する手術です。この手術では一時的に眼内に出血がおこりますが、ほとんどのケースでは数日で解消します。
繊維柱帯切除術とくらべると合併症なども少なく安全なものですが、眼圧低下の効果としては繊維柱帯切除術におよばないところがあります。

繊維柱帯切除術(トラベクレクトミー)

角膜の上の端で眼球の壁を切開し、繊維柱帯の一部を切除することによって新しい房水の排出路をつくります。新しくつくったバイパスが塞がってしまうことを避けるため、手術で作った傷に傷の治りを遅くする薬を塗布します。またバイパスに管を埋め込んで房水の排出を促す手法もあります。
非常に眼圧低下の効果が高い手術ですが、術後のバイパスのコントロールが難しい方式でもあります。術後は定期的に眼圧を測定し、眼圧が高くなってきた場合には、切除した部分を縫合した糸をレーザーで切るなどで対応します。そのため手術後は定期的な受診が必須となります。

なお、当院では緑内障のレーザー手術及び手術は行っておりません。そのためレーザー手術や手術が必要な患者さんには、当院から信頼のおける適切な病院を紹介させていただいております。
今までの主な紹介先は以下となっております。

提携病院
病院
  • 市大センター病院(南区)
  • 市大附属病院(金沢区)
クリニック
  • 稲村眼科(伊勢佐木町)

緑内障Q&A

どうして緑内障になるのですか

原因はいまだによく分かっていません。
なんらかの理由で眼圧が視神経が耐えられるものより高くなってしまうと、視神経が阻害されて視野に障害がおこってきます。これが緑内障です。
障害がおこった視野は復活することがありません。緑内障は早期発見・早期治療が肝要だといわれる理由がそこにあります。

なぜ多くの人が緑内障に気づかず、未治療なのですか?

緑内障には急性のものと慢性のものがあります。このうち患者さんの数が圧倒的に多いのが慢性の緑内障です。慢性の緑内障の進行は非常にゆっくりとしており、症状になかなか気づきにくいのが実情です。また片目で症状が進行していても、人間は2つあるもう片方の目で見え方を補正してしまうことが、さらに進行を気づきにくいものにしています。
こうしたことから、緑内障の早期発見のためには定期的に検査を受けることが大切になっているのです。

なぜ眼圧が上がるのですか?

眼球はその形を保つために、ある程度の柔軟性をもった一定の硬さが必要です。これを眼圧といいます。ちょうどボールの内側に空気を注入し一定の硬さと柔軟性を保っているようなものです。眼球でこの空気の役割をするのが房水です。
房水は目のピントあわせの役割をする毛様体といわれる部分から新しく供給され、内部に酸素や栄養を行き渡らせ、古くなると角膜と虹彩の付け根にあるスポンジ状の繊維柱帯とよばれる部分から排出されるます。これによって圧力を一定に保つ仕組みとなっています。
この供給と排出のバランスが崩れてしまい、供給過多になったり、排出が困難になったりすることで眼圧が高くなります。

眼圧が高くなるとどうなるのですか?

目の奥には視神経乳頭といって、視神経繊維がたくさん集まり束になっている部分があります。眼圧が高くなると、この部分が圧迫されて視神経繊維が阻害されだんだんと減っていきます。視神経が減ってしまった部分は視神経乳頭のなかでへこみとなって残ります。
こうしてだんだんと見えない部分ができてきます。
緑内障は眼圧が正常な範囲内でも発症しますが、このケースでは神経繊維がもともと何らかの理由で弱くなっており、一般的には正常な眼圧であっても耐えられなくなっているのではないかと考えられています。
視神経の異常は眼圧に異常がでて少し時間がたっておこるとされているため、眼圧検査を定期的に行うことが緑内障の予防のためにも大切です。

視神経が圧迫されると何がおこりますか?

視神経が圧迫されることによって、視野がだんだんと狭くなってきます。また、視野が部分的に阻害され、やがてまったく見えなくなる部分ができます。これを暗点といいます。初期のうちは暗点があっても視力にあまり影響はありませんが、進行するにつれ、暗点が増えてきたり、大きくなったりして見えない部分があることをはっきりと自覚するようになります。
こうして周辺からだんだんと視野が狭くなってくると、まるで筒を通して外界を見ているような状態になり、やがて完全に失明してしまうこともあります。
失われてしまった視野はもどることがありませんので、症状の軽い初期のうちに発見し治療を開始することが大切です。

どんな人が緑内障になりやすいのですか?

房水を排出するための隅角が閉じてしまっていないタイプを開放隅角緑内障といいます。このタイプの緑内障では、近視の方が病気の進行がはやいことが統計的にわかっています。また遺伝性もあるとされ、家族内に緑内障の病歴がある場合は、はやめに検査を受けることが大切です。
また排出口が閉じてしまっている閉塞隅角緑内障は60歳以上で遠視のある女性に多いことがわかっています。
これらの条件に当てはまる方は年齢に限らず早めに定期検査をうけるようにしてください。もちろん、これらの条件に当てはまらなくても緑内障を発症することはありますので、40歳を過ぎたらすべての方に目の検査を定期的に受けていただくことをお勧めしています。

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